「京都」。
京都といえば、今や世界を代表する観光地のひとつで、京都市内には様々な寺院をはじめ、歴史ある街並みを楽しむことができ、また春は「桜」、秋は「紅葉」など季節ごとの楽しみ方もある、そんな素敵な街です。
そんな観光で有名な京都ですが、実は大正や昭和時代からのレトロな「銭湯」がたくさん残っているんですよ。
「日本の秘湯」サイトでは、こういった今もなお残る歴史ある銭湯もご紹介していきたいと思います。
今回は、京都でレトロな銭湯「長者湯」をご紹介します。
「長者湯」は、なんと昔ながらの「井戸水を薪で焚く」という驚きの銭湯なんですよ!創業は大正6年で、昭和11年に造られたレトロな外観が、今もそのまま残っています。
最新型トレンドの傾向に進んでいく時代の中で、古き良きものを大切に残しながら必要な部分は改装できれいに造りかえる、新古を織り交ぜた美しさのある「長者湯」の魅力的な空間を紹介していきたいと思います。
スーパー銭湯や日帰り温泉へ行き慣れて、「最新型」や「豪華」なお風呂に入っていても、味のある「銭湯」は、他には代えがたい魅力がありますので、是非、チェックしてみてくださいね。
この記事の目次
1.「外観」:「歴史的建造物」に指定されている昭和11年に造られた唐破風レトロな建物
まずは、「長者湯」の外観から。
「長者湯」があるのは京都市上京区ですが、このエリアは昔ながらの町並みが残る住宅街なんですよ。町家の建物があちこちにあり、とても京都らしさを感じることができます。
そんな街並みの中で、長者湯は、大正6年の創業後、昭和11年に新築された店の外観が、今でもそのまま残っているんです。
唐破風屋根のレトロな建物は、京都市の「歴史的意匠建造物」に指定されたり、映画「舞妓Haaaaan!!!」のロケ地に使われたりなど、古き良き時代のものを現代で活かしながら営み続けているんですね。
まずは、外観からもじっくり眺めてその歴史を感じてみてください。
2,「お湯」:今では珍しい「薪で焚く井戸水」とは?
この火でお湯を沸かしています。夏は大変そうですね!
「長者湯」で楽しみたいのは、なんといっても「薪で焚く井戸水」です。
京都は地下水が豊富だから、昔ながらの銭湯には井戸がよくあるんだそうです。でも、残念ながら薪で井戸水を焚く銭湯って、今ではずいぶん少なくなったようです。。
長者湯で使われてる井戸水の特徴は、「まったりとして優しい肌当たり」で、さらに体の芯から温まると評判とのこと。ちなみに浴室では、焚いたお湯のほかに、天然かけ流し井戸水の「水風呂」も用意されてるので、是非、そちらも体験してみる価値ありですね。
熱々ぽかぽかの体を、この水風呂で「締める」気持ち良さは、やみつきになる人が多いのもわかります。
特別に井戸をみせてもらいました!
このような廃材を燃やしています!
3,「浴室」:威厳ある外観とはうらはらに改装できれいで心地好い浴室
昭和11年から続く「長者湯」ですが、内装は改装されているから、とってもきれいで清潔なんですよ。
「うなぎの寝床」と呼ばれる縦長の造りが京都らしいお風呂なんですよ。浴室には、全部で「4種類のお風呂」があります。メインのお風呂以外に、井戸水を使った「水風呂」、「うたせ湯」や「座り風呂」などがあります。
白いタイルが印象的なシンプルで心地好い空間で、「長者湯の井戸水」を満喫してみてくださいね。
4,「内観」:50年以上使っている脱衣カゴなど、歴史を感じるモノがあちこちに!
長者湯の脱衣所は、改装したこともありきれいで清潔なのですが、そんな中、見事なのが「歴史を感じさせるモノ」があちこちにあるのが魅力的なポイントです。
例えば、衣類を入れる柳行李のかご。
この中にはなんと、50年以上使っているかごもあるとのこと。職人技による貴重なかごだから、同じものをつくるには、ひとつ数万円かかるらしいです!
昔ながらのお釜型ドライヤー
長者湯の女湯のタイル絵「桜の清水」。
さらに、女湯のお釜型ドライヤーや、20年前の改装時に設置されたタイル絵(男湯は「薄雪の金閣」、女湯は「桜の清水」)など、時代を感じさせるものがたくさんありますが、どれも大切に丁寧に手入れされてるから、今でも色あせずに使い続けることができるんですね。
ちなみに、男女ともに脱衣所の道路側には小さな庭園がついてます。これもまた京都らしくて素敵なんですよ。女湯にある庭園の石灯篭には、なぜか「ハートの模様」があってとっても可愛いから、女の人はぜひチェックしてみてくださいね。
女湯側の石灯篭には、かわいいハート模様が!
5,「ご主人のお話」:苦労の上に成り立つ「長者湯」! 30年間経営しているご主人の裏話
30年前までは、サラリーマンをされていたというご主人。
当時は京都市内に400軒あった銭湯も、今では150軒ほどになったそうです。これは、風呂付住宅の増加にともない、銭湯利用者が激減したのがイチバンの理由だとか。
今も人気のある「長者湯」ですが、昔は1日600人来ていたお客さんも、最近では1日100人に満たないほど。ご主人も3人のお子さんを育てながら、「もうあかんかな」と何度も思ったそうです。
周囲の銭湯がどこも同じ苦しい思いをしていることを辛く感じながら、でも「よそには負けへんぞ」という気持ちで、30年お湯を焚いてきたそうです。
最近は、銭湯好きな若者によるイベントなどのボランティアにも救われているみたい。でも、常連さんをみていると、70歳以上が70%、小学生は2人だけ。銭湯文化の薄れを感じずにはいられないですね。
6,「長者湯」の施設情報
独特な魅力を持つ「長者湯」ですが、どうでしたか?
古いものと新しいものを丁寧に合わせると、こんなに居心地の良い空間ができるんですね。この魅力的な銭湯を後世に残すためにも、この秋、京都に行かれる際に、是非一度「長者湯」へ足を運んでみてくださいね!
「長者湯」の銭湯情報
名称:長者湯
住所:京都市上京区上長者町通松屋町西入須浜東町450
定休日:火曜日
営業時間:15:10頃~24:00
電話番号:075-441-1223
駐車場:なし
7,「長者湯」以外の京都市内の銭湯情報
今回の記事でご紹介してきた「長者湯」以外にも、京都市内には今もなお残る歴史ある銭湯がたくさんあります。
ここでは、そんな京都市内の銭湯情報を「長者湯」の関連情報としてご紹介していきます。
以下を参考にご覧下さい。
▶京都の銭湯「天然温泉 金閣寺湯」!金閣寺の観光のお供に日帰り温泉を。
▶京都「天翔の湯」!天然温泉の露天風呂や水素風呂に入れる銭湯
記事作成日:2018年7月2日
記事作成者:「日本の秘湯」ゆーナビ編集部