皆様は、福岡県紫野市にあるJR線「二日市」駅をご存じでしょうか?
ほとんどの方がご存知でないと思います。
JR線「二日市」駅の周辺をぶらぶらしていると、「二日市温泉にようこそ」と書かれた看板があります。
そんなJR線「二日市」駅の裏側にまわり、歩いて行くと、こじんまりとした温泉街っぽい通りがあり、いかにも歴史がありそうな建物が出現します。
それこそが、今回の記事でご紹介する知る人ぞ知る駅裏の名湯!上質な源泉かけ流しの天然温泉が堪能できる二日市温泉「博多湯」です。
二日市温泉「博多湯」の入浴レポートや泉質紹介はもちろん、それだけではなく、「どんな施設で」、「どんな歴史があるのか?」、また、「博多湯」の正面にある御前湯まで、たっぷりとご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
1,「博多湯」ってどんな所?施設を簡単にご紹介。
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出典:instagram/yukoujinさん
まず最初に、二日市温泉「博多湯」ってどんな所か?について簡単にご紹介しておきます。
JR線「二日市」駅の裏側のささやかな温泉通りの一角に、その建物はあります。
建物は、木造三階建て。入口の扉を開けると、靴を脱ぐ玄関があり、入浴受付があります。
「いらっしゃいませ!」
と、受付のおばちゃんの、元気のいい声が聞こえてきます。
「こんにちわ!」
と、思わず笑顔でご挨拶してしまいます。(笑)
受付で入湯料金を払います。受付の奥には、浴室への暖簾(のれん)が見え、ジュースの自動販売機があります。暖簾(のれん)には、「湯」の一文字だけで、木製の看板に「男湯」と「女湯」の表示があります。
暖簾(のれん)をくぐり、中へ入ると、「ロッカー」と「洗面台」が見えてきます。
こちらのロッカーは、お金を入れるものの後から返ってくるシステム。ちょっぴり、ややこしいお金の入れ方なので、説明をよく読み荷物を預けます。
これで、セキュリティはバッチリ!
脱衣所のちょうど真ん中付近に湯舟への扉があります。待ち受ける温泉を想像するとワクワクしてくるのは、やっぱり私が温泉が好きだからなのでしょう。(笑)
受付〜脱衣所までの流れは、こんな感じの様子ですが、次はお風呂の紹介です。「入浴レポート」を見ていきましょう。
2,「博多湯」のお風呂紹介!実際に入浴した体験レポートをご紹介。
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出典:instagram/harakiri_hakata_jrさん
次にご紹介していくのは、いよいよ「お風呂」のご紹介!
浴室の扉を開けると、階段があります。
階段をゆっくり降りて行くと、徐々に軽い硫黄の匂いがしてきます。しかし、「硫黄泉」ではありません。「硫黄泉」独得の白い濁りはなく、言われてみれば「少し濁ってるかも?」程度の色の温泉です。
「かけ湯」する場所と、シャワーのついたカランもあります。
温泉のマナーとして、まずは体洗い。綺麗になったところで「かけ湯」をして、湯舟へつかります。入浴したとたんに、硫黄の匂いが鼻をくすぐります。
ですが、お肌は「トロトロのスベスベ」。アルカリ性の温泉に多い感覚です。
温泉自体の入浴しやすさからも、「単純温泉」と言う事が分かります。
▶参考情報:「単純温泉」の解説について詳しくはこちらをご覧下さい。
気になるのは、「単純温泉」の中でも何系の単純温泉なんだろう?と言う事です。
「炭酸水素?塩化物?硫酸塩?」それとも、「何かの特殊成分が、規定値以上?」それとも、「ギリギリ足りない程度?」、「微妙なポカポカもあるけど・・・お湯自体の温度なのか」、「塩化物泉なのか?」、「硫黄の匂いは、硫化水素型硫酸塩泉?」・・・なんて、温泉とにらめっこしつつ、浴槽もしっかり観察します。
温泉で分からない時は、湯舟で謎解きです。
析出物で、大体の成分が分かる事もあるんです。(笑)
そしてなんといっても純源泉かけ流しの天然温泉が「博多湯」の名物です。
お風呂の種類は、「岩風呂」の内湯のみ。
奥の方には、源泉がかけ流されている場所もあります。浴槽が温泉で変色している場所から判断すると「炭酸水素塩泉系単純温泉なのか?」。
後で、温泉成分分析書を見る楽しみにしちゃいます。(笑)
でも、せっかくの温泉ですから、にらめっこや調査してないで、ゆっくりと体を癒す方がいいですよね。
入浴してる皆様は、とても気持ちよさそうです。きっと、昔から、こうして入浴する人達を癒してきたんだろうなと感じたりして、お湯を堪能します。
次は、そんな二日市温泉「博多湯」の歴史について見ていきましょう。
3,二日市温泉「博多湯」の歴史をご紹介
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それでは次に、「博多湯」の歴史を紐解いてみます
創業したのは、「万延元年」!?(それいつだろ・・笑)
いつの時代だろうと調べてみますと、なんと「江戸時代」でした。有名なものとしては、「桜田門外の変」があった年。奴隷解放の父と言われた「リンカーン」が大統領になったのも、この年だったそうです。
さらに調べてみて分かったのですが、「二日市温泉」そのものは、1300年の歴史を持つ「九州最古の温泉」だとか。「吹田の湯」と呼ばれていたんですね。
万葉の歌人「大伴旅人」が詠んだ「湯の原に鳴く葦田鶴はわがごとく妹に恋ふれや時わかず鳴く」と言う歌が有名で、この湯の原が「二日市温泉」なのだそうです。
そんな歴史を踏まえて「博多湯」のお風呂に入浴すると、今までとまた一味違った雰囲気になるかもしれませんね。
歴史って今習っている教科書も、何年か後には違う内容になっているかもしれないんですって。歴史って、謎が多いですね。歴史ある温泉も、やっぱり謎がおおいようで・・・。
次の段落では、二日市温泉「博多湯」の謎を追求してみたいと思います。
4,「博多湯」の謎についてご紹介
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さて、ここではちょっぴり温泉マニア向け!(笑)
「博多湯」に関する謎について見ていきましょう。
「温泉がある所には、必ずなんらかの謎があるのよ。」と、先日ある友人に話したら・・・。「いつも温泉で、そんな事考えながら入浴してるの?」なんて言われました。
実は、この記事の筆者でもある私「温泉シニアマイスターの小井 明日香」は、そうなんです。(笑)
「泉質チェック」から始まり、「湯舟の状態」、「成分分析書とのにらめっこ」やら、「歴史の探索」、「何か謎がないか」、「周辺を歩いてみたり」・・・一般の入浴客に、変な人と思われているかもしれません。(笑)
ここからは、そんな変な人の一歩手前くらい・・もしくは、さらに進んでいる人におススメの内容になります。
さて、二日市温泉「博多湯」ですが、実は、謎だらけなんです。
まず、温泉と言うのは、大きく分けて「火山性温泉」と「非火山性温泉」の二つに分類されます。
福岡県の温泉は「非火山性温泉」が多く、主に深層地下水型と化石海水型と言う二種類の「非火山性温泉」のどちらかだと言われています。
二日市温泉「博多湯」は、前述したように「単純温泉」です。「温泉成分分析書」によると、「ナトリウムー塩化物・炭酸水素・硫酸塩泉」の成分量足らずと言う事になります。
「非火山性温泉」の深層地下水型は、主に「ナトリウムー炭酸水素塩泉」、化石海水型は、主に「ナトリウムー塩化物泉」です。
・・・となると、二日市温泉「博多湯」は、この二つが混ざって、地下水等も混ざって薄くなっていると考えるのが普通なのですが、問題は「硫酸塩泉」です。
一体、どこから来たのでしょうか?
「硫酸塩泉」は、硫酸が金属と中和されてできますが、元々は、硫黄が水素と結合した「硫化水素」が原料です。「硫化水素」が、雨水と混合すると「硫酸」になります。
「火山性温泉」に多く見られます。「硫黄泉」に含まれているケースもあります。
「もしや、二日市付近に、昔、火山があった?」
追い打ちをかけるようにラドンの含有量が、「放射能泉」とまではいきませんがあります。「放射能泉」は、「非火山性温泉」に多いですが、「火山性温泉」に含まれる場合もあります。
一体、二日市温泉「博多湯」の単純泉には、どんな温泉の流れがあるのでしょうか?
全くもって謎です。
5,「博多湯」の泉質紹介
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ここでは、源泉かけ流しの天然温泉が名物の「博多湯」の泉質をご紹介しておきます。
泉質情報
・泉質:弱アルカリ性単純温泉(低張性・高温泉)
・泉温:43.8℃
・PH:8.20
・ラドン:6.1ME
・湧出量:157リットル/分(動力揚湯)
適応症(浴用):
筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、抹消循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ病など)病後回復期、疲労回復、健康増進など
禁忌症(浴用):
病気の活動期(熱のあるときなど)活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性病気の急性増悪期など
入浴感:
軽い硫黄臭があったので重ためかと思いましたが、入浴してみると「トロトロ感」が体を包みます。源泉かけ流しと言う事で、お湯の鮮度もよく、少しですが泡付きがありました。じっくり入浴していると体が温まってきますが、湯上りはサッパリ感があります。
「温泉成分分析書」で確認すると、成分総量が多ければ、かなりすごい泉質名がつきます。
(成分総量が1kg中1000mgを超えていれば、「ナトリウムー塩化物・炭酸水素・硫酸塩泉」の可能性がある。)
また、ラドンが放射能泉数値まではいきませんが含有されていますので、「放射能泉」に近い効果も期待できます。
事実、入浴後、お肌が活性化した感覚がありました。
6,二日市温泉「博多湯」の口コミ&評判情報
これまで「博多湯」の施設の様子や特徴、魅力や謎までご紹介してきましたが、、やはり気になるのは「博多湯の口コミ」。
筆者の私以外に、実際に「博多湯」に訪れたことのある方の口コミや評判についてご紹介したいと思います。
これから検討されている方は、是非参考としてご覧ください。
温泉ソムリエは福岡筑紫へ♨
久々のこのシリーズ。
筑紫にある「博多湯」へ!単純温泉だけど、ふわりと香る硫黄臭。
少しぬるめのお湯は無消毒の完全源泉かけ流し。
風呂上がりには源泉で作ったコーヒーゼリーを。一癖ある湯。
やっぱり九州だね! pic.twitter.com/dNSGsODdeQ— 荒木 麻由 (@mayu_ark) 2018年6月27日
二日市温泉博多湯 硫黄の香りのするいいお湯でした
本当久しぶりに入ったけど気持ちよかった pic.twitter.com/JM3ytrnX6O— マニ山 (@maniaxch) 2017年11月15日
久しぶりに二日市温泉へ。
今回は西鉄バス二日市「二日市温泉」バス停前の博多湯にお世話になりました。
お湯はぬるめですが、源泉掛け流しで、値段も300円とリーズナブルでした。
貸しタオルもありますし、アメニティも揃っています。
ここ、個人的に気に入ってしまいました。 pic.twitter.com/H2bwFJCRpe— Koji Suda@ひろしプロジェクトの中の人 (@Hiroshi_project) 2017年9月24日
汗かいたので、二日市温泉、博多湯さんに入ります。ぬるいお風呂だが温泉臭プンプン。10分も使って上がればほっかほか。この正面に御前湯さんありまして、そことハシゴしようかと思いましたが、そっちはお休みでした。残念。😅 pic.twitter.com/5DcqXOOjF5
— komorinookite(イマちゃん) (@kazu01now) 2016年1月1日
やはり、この記事でご紹介してきたような「硫黄臭」などは皆さんそれぞれ体感されているようですね。
後は、入浴料の安さもイチオシの評価。
そして意外にも遠方からも訪れる方が多いようです。
実際に入浴された後は、皆様、からだもポカポカに温まるようで満足感はあるようですね。
その上、歴史あるレトロな建物など、お風呂以外にも見て楽しめる要素もあるのが嬉しいポイントかもしれません。
7,二日市温泉「博多湯」の基本情報
名前:博多湯
英語標記:HAKATAYU
郵便番号:818-0058
住所:福岡県筑紫野市湯町1-14-5
電話番号:092-922-2119
営業時間:9:00 ~ 21:00(最終受付 20:30)
定休日:年中無休
入浴料金:※2018年9月時点の料金
・大人/300円
・子供/150円
備品料金:※2018年9月時点の料金
・タオル(販売)/150円
・ボディタオル(販売)/100円
・バスタオル(レンタル)/150円
・カミソリ/100円
・歯ブラシ/50円
お風呂情報:内湯(男女別各1)
駐車場:なし ※近くに有料駐車場あり
お役立ち情報:
・休憩スペースは無料ですが、有料の個室があります。
※2時間1000円 ※1名様分の入浴券付き
・持ち帰り湯(温泉のお持ち帰り)
料金 ※2018年9月時点の料金
2リットル/100円
10リットル/400円
20リットル/700円
8,二日市温泉「博多湯」までのアクセス情報
電車&バス
・JR線「博多」駅からJR線「二日市」駅で下車(約15分)。JR線「二日市」駅から徒歩10分。
・西鉄「天神」駅から西鉄「二日市」駅(約15分)。西鉄「二日市」からバスで約15分。
・天神より高速バスで筑紫野バス停で下車(約30分)。筑紫野バス停から徒歩約5分。
車
九州自動車道筑紫野ICより車で5分。
9,「日本の秘湯」ゆーナビ編集部コメント
いかがでしたか?
今から二十数年前、筆者である私は、福岡県の太宰府市に住んでいた事があります。太宰府市と筑紫野市は、隣り合う市で、福岡県でも中心部から少し離れています。有名な「太宰府天満宮」があると言えば「あ~!」と言う方もいらっしゃるかもしれません。
そんな二つの市の中で最寄り駅と言えば、JR線「二日市」駅なんです。
小さな駅なのですが、私はよく利用していました。「二日市」駅の裏に温泉街っぽい通りがあり、そこに知る人ぞ知る温泉があるなんて、当時は全く知りませんでした。
二年後、私は太宰府市を離れ、福岡市に引っ越すのですが、なかなか、二日市まで来る機会はありませんでした。数年前、九州温泉道と言うものを知り、対象施設として、二日市温泉「博多湯」があると知った時には、驚きもさる事ながら太宰府市に住んでいたあの頃に、なぜ知らなかったのだろうという思いでした。
しかし、二日市温泉「博多湯」は、当時も硫黄の匂いがするトロトロの温泉が、こんこんと湧き出していたのではないかと思います。
福岡県の中心部からは、そこそこ離れた場所にあるJR線「二日市」駅ですが、歴史ある名湯でゆっくりと心と体を癒してみてはいかがでしょうか?
記事作成者:「日本の秘湯」ゆーナビ編集部 温泉シニアマイスター 小井 明日香
記事作成日:2018年9月13日