石の階段を下りて行き、浴槽のそばで服を脱ぎ湯に浸かる・・・。
「おっと気を付けて下さいね。」
ここの温泉はずいぶんと深いんです!
「深いってもそんなに・・・。」
いえいえ、あなどってはいけませんよ。今回ご紹介する温泉は、立ったまま入浴できるという驚きの深さの温泉なんです。
そんな立ったまま入る事が出来る温泉で、新日本名湯百選にもなっている名湯は、岩手県の奥羽山脈の中腹にある花巻温泉郷の中にある温泉の一つ「鉛温泉」で有名な「藤三旅館」です。
「鉛温泉」のある「藤三旅館」は、豊沢川沿いにある一軒宿で辺りは大自然に囲まれた静かな山の中にある温泉です。「新日本百名湯」、「日本温泉遺産」にも選ばれるほどの温泉旅館で、5本の自家源泉を持っているのだとか。
そのため、館内すべての浴槽は、加熱・加水一切なしの「源泉100%のかけ流し」が徹底されています。
今回は、そんな珍しいまさに純天然の温泉を体験できる花巻温泉郷にある「鉛温泉」と「藤三旅館」の魅力をはじめ、他にも名物の「湯治部」についてや、また実際に訪れた方の口コミ、「藤三旅館」までのアクセス情報についてご紹介いたします!
この記事の目次
1,「藤三旅館」の名物!日本一深い立ったまま入浴できる温泉「白猿の湯」をご紹介【混浴】
出典:instagram/tera_tomotsun1208さん
趣のある建物は、昭和16年に建てられたというケヤキ造りの3階建。
ここの建物の中に立ちながら入浴することが出来るという日本一深い自噴温泉「白猿の湯」があり、たくさんの方が遠くからも訪れます。
出典:instagram/marilou22999さん
写真からは想像もつきませんが・・。
この「白猿の湯」が、日本一深いお風呂なんです。
その深さは「約1.25m」!
開湯600年のこのお湯をお求めて多くの小説家なども好んで滞在していたとか・・。
その中の一人でもある宮沢賢治の童話「なめこと山の熊」では、
・・・・腹の痛いのにも利けば傷もなおる。鉛の湯・・・
と出てくるほどです。
出典:instagram/cotton0828さん
出典:instagram/namari_onsenさん
前述してきたとおり、「白猿の湯」は、藤三旅館の鉛温泉の中のひとつで、日本一深い自噴の天然岩風呂として有名ですが、立って入ればあごを先まで湯に浸かることができそうです。
立ちながら湯に浸かり、溺れない様にと口元をあげると必然的に天井を見上げるような格好になるのですが、その見事なほどに高い天井も「白猿の湯」での見どころなので、お忘れなく!
浴槽へは石の階段を下りていくのですが、下で待ち構えているのは大きな小判形の浴槽とそのそばに小さな丸い浴槽があるのみ。すぐ側で服を脱いだらそのままドボンと湯に浸かるという昔ながらの浴室でもあります。
(※ちゃんと掛り湯をしてから入浴しましょう!)
出典:instagram/memekurageeさん
この小判形の浴槽の真ん中からは、プクプクと温泉が湧き出ているのを感じる事が出来ます。
このお湯は少しだけぬるめの「40℃」くらいですが、立って入る立位湯のために全身に湯圧がかかりおもいっきり汗をかく事が出来ます。隣にある小さな丸い湯船はもう少し温度が低く「35℃」くらい。交互に入ることで長くゆっくりとお湯を堪能できそうです。
無色透明のお湯なのですが少し青みがかかっても見えます。湯の色と浴槽の雰囲気とでなんとも言い難い癒しの時間を過ごすことができます。この「白猿の湯」は、是非とも入っていただきたい温泉ですが、実はこの湯船は「混浴」になっているんです。
知らずに入ってしまっても地下のために逃げ場所もありません。(笑)
ただ、女性専用の時間もちゃんと設けてあるので時間を確認してから訪れてみて下さい。季節や時間帯によっては貸切状態で入る事も出来るそう。
一人でこのお湯を堪能できるのであれば、これ以上の幸せはないかもしれませんね。シーンと静まり返った中で流れ出ていくお湯の音のみが聞こえる。
そんな贅沢な時間を過ごしていみたいですね。
2,「白猿の湯」だけじゃない!?「藤三旅館」で温泉めぐりも楽しめます。
出典:instagram/utan999さん
前項でご紹介してきたとおり、「鉛温泉」の「藤三旅館」では、日本一深いお風呂「白猿の湯」が名物です。
しかし、「藤三旅館」の温泉は「白猿の湯」だけではありません。
その他にも、「桂の湯(かつらのゆ)」、「白糸の湯(しらいとのゆ)」、「銀の湯(しろがねのゆ)」と呼ばれる温泉があります。
ここでは順番にそれらの温泉の魅力を、ご紹介していきたいと思います。
桂の湯
出典:instagram/run.aqua13さん
まず一つ目は、「桂の湯(かつらのゆ)」。
「桂の湯」は、桂の木の根本から湧き出たという「鉛温泉」の由来から名を取ったお風呂。
内風呂と露天風呂のほか、川のせせらぎを聞きながら自然を感じられるお風呂が楽しめます。
出典:instagram/forestivalさん
白糸の湯
出典:instagram/emiffyさん
二つ目は、「白糸の湯(しらいとのゆ)」。
「白糸の湯(しらいとのゆ)」は、白糸の滝を目の前にした半露天風呂。
窓を全開にすれば、豊沢川の清らかな流れと白糸の滝がやさしく映り、美しい景観を楽しみながら温泉に浸かれます。
出典:instagram/azukimameさん
銀の湯
出典:instagram/sabao0216さん
三つ目は、「銀の湯(しろがねのゆ)」。
「銀の湯(しろがねのゆ)」は、バリアフリーに配慮したお風呂なんです。
脱衣所の床暖房があったり、段差が少なくなっているなど、体が不自由な方に配慮の効いた浴場です。
貸切利用も可能なんで、家族や友達と気兼ねなく利用できます。
3,「藤三旅館 鉛温泉」の入浴時間について
前段では、名物「白猿の湯」以外の「桂の湯(かつらのゆ)」、「白糸の湯(しらいとのゆ)」、「銀の湯(しろがねのゆ)」の三つのお湯をご紹介してきましたが、ここでは、それぞれ4つの温泉の「入浴時間」についてご紹介しておきますね。
1,「白猿の湯」の入浴時間
●混浴の時間帯
・12:00〜14:00
・15:00〜19:30
・21:00〜6:00
・7:00〜12:00
●女性専用の時間帯
・14:00〜15:00
・19:30〜21:00
・6:00〜7:00
※「白猿の湯」は、金曜日の「10:00〜14:00」の時間帯は、清掃のため利用できないのでご注意ください。
2,「白糸の湯」の入浴時間
●男性専用の時間帯
・12:00〜15:00
・6:00〜12:00
●女性専用の時間帯
・15:00〜6:00
3,銀の湯(しろがねのゆ)の入浴時間
●貸切専用の時間帯
・12:00〜21:00 (1日6組限定 各50分先着順)
●男性専用の時間帯
・21:00〜6:00
●女性専用の時間帯
・12:00〜15:00
・6:00〜12:00
4,湯治を目的とした昔ながらの宿泊施設「湯治部」もオススメ
出典:instagram/iwasablackさん
実は、「藤三旅館」には、玄関を別にして「湯治部(自炊部)」という施設もあるのですが、こちらは湯治を目的として簡素ながらに昔ながらの味のあるお部屋に宿泊することができます。
10円で5分ほど使える「ガスコンロ」があるために、持ち寄った食材で自炊ができます。
お客さん同士で料理を持ち寄って食卓を囲むなんていう楽しみ方もできるそう。
もちろん通常の「旅館部」と同じ食事を頼むことも出来ます。
出典:instagram/xtort_gさん
「旅館部」に泊まってのんびりと湯にのみ浸かるというのも良いのですが、味のある「湯治部(自炊部)」に泊まってみるというのもまた違った体験が出来て良いかもしれません。
●「藤三旅館 湯治部」のGoogleストリートビューです。
5,鉛温泉「藤三旅館」の源泉の泉質をご紹介
出典:instagram/arukukumaさん
泉質:単純温泉・アルカリ性単純高温泉。
特徴:湯量豊富、57度
源泉温度:35~60℃
湧出量:1000リットル/毎分
効能:
神経痛、リウマチ、胃腸病、筋肉痛、関節痛、皮膚病、神経性疾患、婦人病、糖尿病、肥満、じ疾、小児疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、病後保養など
6,鉛温泉「藤三旅館 」の基本情報
名称:鉛温泉「藤三旅館」
英語表記:NAMARI ONSEN FUJISAN RYOKAN
郵便番号:025-0252
住所:岩手県花巻市鉛字中平75-1
電話番号:0198-25-2311
日帰り入浴の営業時間:7:00〜21:00 ※受付20:00まで
日帰り入浴料:※2018年8月現在
・大人/700円
・小人/500円
お風呂情報:
・白猿の湯/しろざるのゆ(日本一深い自噴温泉岩風呂)/内風呂(混浴)
・桂の湯/かつらのゆ/露天風呂(男女別)、内風呂(男女別)
・白糸の湯/しらいとのゆ/内風呂(男女別)
・銀の湯/しろがねのゆ/内風呂(男女別)
施設に備え付けてある備品:
シャンプー
レストラン
リンス
ドライヤー
ボディシャンプー
乳液
「藤三旅館」の宿泊プラン:
宿泊プラン(お部屋)により料金は異なります。
●参考
約8000円〜(1人あたり1泊2食付き)
・チェックイン/15:00
・チェックアウト/10:00
※プランにより宿泊料は異なります。
※予約が必要です。
※予約については、電話でお問い合わせ下さい。
▶参考:宿泊プランについてはこちらをご覧下さい。
駐車場:無料駐車場あり80台
公式サイト/http://www.namari-onsen.co.jp
その他、お役立ち情報:
・鉛温泉「藤三旅館」の名物立ちながら入浴できる「白猿の湯」は混浴風呂です。
実際には脱衣所も男女兼用で、お湯も無色透明であることから、恥ずかしい度は高い混浴です。但し、女性の方は「女性専用」になる時間帯がありますので、その時間帯を狙って入浴されることをオススメします。
・JR線「花巻」駅、JR線「新花巻」駅より無料のシャトルバスあり(お迎え1日3便、お送り1日1便)
・「鉛温泉 藤三旅館」でのオススメの入浴方法について以下ご覧下さい。
「藤三旅館」は、「加水・加温・循環」等を一切行っていない源泉100%の温泉で、温泉成分が濃い「薬湯」となります。
源泉100%のかけ流しで、源泉そのまま自然の状態で入浴します。
お家のお風呂のように普段どおりに入浴していると「湯あたり」や「のぼせ」を引き起こしますので、約5分くらいを目安に休み入浴すると良いとされていますので、必ず守りましょう。
7,鉛温泉「藤三旅館 」の口コミ・評判をチェック
ここでは、鉛温泉「藤三旅館」の口コミ・評判について、実際に日本一深い自噴温泉に訪れた人たちの声をご紹介いたします。
これから「藤三旅館」に行かれる方、もしくは検討されている方は、是非参考にご覧ください。
先だってテレビ放映された海街diary 冒頭の広瀬すずさんの山形訪問シーンのアングルはこんな感じだったかな…♨ おいでよ岩手 (@ 鉛温泉 藤三旅館 in 花巻市, 岩手県) https://t.co/PSvvWMUbWR pic.twitter.com/UIEb6n2PuV
— kenken (@kenken777x) 2016年6月15日
藤三旅館(鉛温泉)
日本一深い自噴天然岩風呂で癒されました。 pic.twitter.com/Hzxl664AsS— たけし (@5828W) 2016年6月11日
心のせんたく!
2日目は鉛温泉、藤三旅館へ。
白猿の湯をいただきました。立って入る珍しいお風呂!夢も叶って満足な旅です‼️ pic.twitter.com/VHdlwXjEvd— 洗心 ( yasu ) (@mmfHW7PRhGCA7J1) 2016年5月28日
実際は岩手 花巻温泉郷 鉛温泉 藤三旅館でした。山形ではなくて。去年の7月。 高台の公園は時間がなくて断念したのです。『海街diary』 pic.twitter.com/RgTTR5SC0P
— moonfish (@nawokingdom) 2016年5月21日
3湯目は鉛温泉 藤三旅館。立ったままでつかれるという「白猿の湯」に恐る恐る足を入れたけど、意外にもぬるめ。入りやすかった(^-^)
41度ぐらい?
写真で見たとおりの様子になぜか納得(’-’*) pic.twitter.com/GwJdSuzIwU— ター (@qkpzjgvffsbn) 2016年9月8日
@yuyuyukko26 元湯の混浴はハードル高いですよね(笑)
鉛温泉、こないだ行ってきましたよー!一人でふらりと!
真夏に行ったので熱かったですが、、素晴らしいお湯でした!— 波野ジョニー (@jonytwite) 2016年8月27日
今日は岩手県花巻市の鉛温泉行ってきた!!!
海街diaryのロケ地にもなってる場所で、サイン見れたしよかった!
珍しいたち風呂だったしお風呂最高〜 pic.twitter.com/gPeiti5aeq— 来輝 (@raiki4023) 2016年8月15日
どうやら「藤三旅館」は、綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんらが出演する映画『海街diary』のロケ地として撮影されたスポットのようですね。
口コミを見る限りでは、「珍しいお風呂に入れて良かった!」、「映画の撮影ロケ地に来れた!」といった声が多かったです。
8,岩手 花巻温泉郷 鉛温泉「藤三旅館」までのアクセス情報
名称:鉛温泉「藤三旅館」
郵便番号:025-0252
住所:岩手県花巻市鉛字中平75-1
電話番号:0198-25-2311
電車・バス
・花巻南温泉挟の無料シャトルバス:
JR東北本線「花巻」駅より30分、JR釜石線・東北新幹線「新花巻」駅より40分。
迎え1日3便、送り1日1便。
▶花巻南温泉挟の無料シャトルバスの時刻表についてはこちらをご覧下さい。
・送迎:
5名〜19名までJR東北本線「花巻」駅、JR釜石線・東北新幹線「新花巻」駅より送迎あり。
▶鉛温泉「藤三旅館」の送迎時間/迎え14:00~16:00、送り9:30
車
花巻南ICより車で約20分。
9,「日本の秘湯」ゆーナビ編集部コメント
いかがでしたか?
岩手県の花巻温泉郷の中にある名湯「藤三旅館」は、歴史ある建物で昔懐かしい昭和の面影を色濃く残しています。しかし中に一歩入ってみるとお部屋も浴室もきれいで気持ちよく過ごせそうです。
そして何より魅力的なのが、源泉そのまま(加水や加温なども一切なし)で自然の状態の天然温泉に立ったまま入浴し、口元から足の先まで思う存分味わえるなんて、まさに「ここでしかできない体験」なんじゃないでしょうか。
記事作成日:2018年8月16日
記事作成者:「日本の秘湯」ゆーナビ編集部