時々、次のような質問をされることがあります。
「別府八湯に北浜温泉エリアってあるんですか?」
あると言えばあります。ないと言えばありません。
別府八湯には「別府温泉」というエリアがあり、別府全体の温泉のことを言うこともあれば、別府温泉エリアだけを言うときもあります。
北浜温泉エリアというのは、「北浜温泉テルマス」や「旅館街周辺」のことを指していて、別府温泉エリアに含まれているんです。別府八湯エリアと違い、ここからここまでという明確なものはありません。
そんな北浜温泉と呼ばれるエリアには、「別府タワー」が近くにあり、別府地元温泉が多いのが特徴です。
そんな別府地元温泉が多い中、今回ご紹介するのは「春日温泉」。
「春日温泉」は、別府地元温泉の一つなんですが、見つけにくいことでも有名な名湯の「共同浴場(公衆浴場)」なんです。
今回の記事では、「春日温泉」について、行き方や入浴レポート、春日温泉の謎まで、たっぷりとご紹介します。さらに、別府地元温泉と言えば100円で入浴できることでも有名です。そんな共同浴場(公衆浴場)も、一部ご紹介しますね。
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この記事の目次
1,「春日温泉」ってどんな共同浴場(公衆浴場)?
まず最初に、「春日温泉ってどんな所なの?」って気になる方がほとんどだと思いますので、簡単な解説でまとめておきますね。
JR「別府」駅を出ると「駅前通り」という大通りが海へ向かって伸びています。
その通りの途中に「海門寺公園」という大きめの公園があり、公園の先には「海門寺温泉」という公民館併設の共同浴場(公衆浴場)があります。
「海門寺温泉」を右手側に見ながら進むと、小さな商店やゲストハウスがある昭和の雰囲気のある通りになります。
しばらく進み、右に曲がれば「別府タワー」という四つ角がありますので、そこを左に曲がります。すると、いくつかの建物や駐車場がある静かな通りの一角に、事務所風の建物があります。
この建物のすぐ横の路地に「春日温泉」の入口があります。
料金箱の100円を入れ、奥へと進むと、二つの引き戸とすのこが敷いてあります。すのこの前で靴を脱ぎ、引き戸を開けて中に入ります。「男湯」が奥側で「女湯」が手前です。
引き戸から入るとまずカーテンがあり、カーテンをめくると、そこには湯船があります。湯船をU字型に囲むように浴室があり、段差の細い通路があります。通路の先が脱衣棚で、荷物はここに入れます。
別府では典型的な浴槽一体型ですが、その狭さは、田舎のおばあちゃんの家にあるちょっと広めのお風呂に来たような懐かしさがあります。
懐かしさもいいけど、やっぱり気になるのは温泉ですよね。
2,「春日温泉」の入浴レポート
次は、もっとも気になる「春日温泉」のお風呂の入浴レポートです。
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湯船は「男湯」と区切る壁から伸びており、その周りにU字型の浴室があります。
浴室全体は歴史を感じさせる雰囲気で、どことなく漂う懐かしさがリラックスさせてくれます。
壁際に小さな木の杭があり、この杭で源泉を調節できます。
他の共同温泉のものと比べると小さくてかわいらしいですが、周囲の析出物(せきしゅつぶつ)を見ると、やっぱり温泉だなと感じます。
お湯は湯船から汲み出す方式です。浴室が狭いですので、周囲にお湯が飛び散らないように注意します。
かけ湯をすると、マグネシウムが温泉成分に含まれている際に感じるピリッと感があります。「炭酸水素塩泉系」とは思えないほどです。以前はかなりの濃さで、もっとピリッと感があったような気がしますが日によって違うようです。
▶参考情報:「炭酸水素塩泉」の泉質について詳しくはこちらをご覧下さい。
湯船に浸かってもこのピリッと感を感じることができます。
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カルシウムのまとわりつくような感覚もあり、何度か出たり入ったりしているとカルシウムのものと思われるベタベタ感もあります。湯煎から出ると意外とさっぱりとしますし、体を拭いているとサラサラ感に変わります。(※入浴感は個人の感想です)
皆さんも実際にこのお湯を体験してみてくださいね。
4,「春日温泉」の歴史をご紹介
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続いては、昭和の懐かしさを感じれる「春日温泉」の歴史についてをご紹介。
古めかしくて懐かしさを感じる温泉って、結構な歴史があったりします。
「春日温泉」の歴史を紐解きますと、創業されたのはなんと「大正時代」。100年の歴史があるんですね。創設当時は自噴していましたが、だんだんと出なくなってきて、掘削したところ、再び出るようになったのだそうです。
春日という名前は、この温泉がある通りが春日通りだったからだとのこと。町内に温泉がある別府らしいネーミングですね。
現在の建物自体がいつできたのかはわかりませんが、古いものであることは間違いありません。
実は別府の人は意外と記録を残していない事が多く、歴史的建造物も沢山あるので普通に取り壊したりしちゃうこともあるらしいです。歴史を研究している人からすれば、本当にもったいない話ですよね。
でも、そういうところが、別府の人のおおらかな部分や優しい部分に通じているんじゃないかと、私は思っています。そんなこんなで、別府の歴史って謎が多いんですが、温泉も謎が多いんですよ。
次の段落では、「春日温泉」の謎についてお話します。
5,「春日温泉」の気になる謎について
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ここでは、「春日温泉」の気になる謎についてお話します。温泉マニアな方はお付きあい下さい。笑
温泉があるところには、必ず謎があります。
それは小さな「共同浴場(公衆浴場)」だろうが、ただ意味もなくパイプから流れているだけの温泉でも同じです。温泉がそこに湧いているだけで、謎も湧いてくるんです。
ここから先は、マニア向けの内容になります。マニアの皆様は、謎について考えてみてくださいね。
「春日温泉」は、以前は「重炭酸土類泉」と言われていました。
▶参考情報:「重炭酸土類泉」とは、炭酸水素塩泉の古い呼び名で、現在で言うマグネシウムー炭酸水素塩泉とカルシウムー炭酸水素塩泉の事です。ちなみに、ナトリウムー炭酸水素塩泉は、重曹泉と言われていました。
現在でも、「重曹泉」って聞いたことありませんか?
「春日温泉」は、「重炭酸土類泉」なので、ややにごりがあり、独特の重さがあるという特徴があります。
少なくとも、初めて私が「春日温泉」に入浴した時には、その特徴がありました。しかし、一番最近に入浴した「春日温泉」は、以前よりもクリアで、独特の重さもあまり感じられませんでした。
源泉の成分が変わってしまったのでしょうか。
そうなると、どこかから地下水があの付近に流れ込んでいると考えられますが、一体どこからきた地下水なのでしょうか。別府にはいくつかの地下水ルートがあり、北浜付近の場合は、海水が流れ込んでいる場合もあります。
温泉自体、日によって成分がかわることはよくあります。
たまたまその日がそうだったのでしょうか?
それとも、「春日温泉」の源泉が変わってしまったのでしょうか?
「春日温泉」の源泉は今でも謎のままです。
6,「春日温泉」の泉質紹介
ここでは、「春日温泉」の泉質についてご紹介していきます。
泉質紹介
●泉質:ナトリウムー炭酸水素塩泉(弱アルカリ性 低張性 高温泉)
●泉温:58.0℃
●湧出量:測定せず
●PH:7.7
●適応症(浴用):
きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、抹消循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害)病後回復期、疲労回復、健康増進など
●禁忌症(浴用):
病気の活動期(熱のあるときなど)活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性病気の急性増悪期
●入浴感:
泉質名はついていませんが、マグネシウムとカルシウムが含まれており、独特のピリピリ感とまとわりつくような感覚があります。しかし、湯船から出ると、スーッとするさっぱり感があり、炭酸水素塩泉独特のサラサラ感とカルシウムのベタベタ感がコラボします。体をふくと、ベタベタ感は消え、サラサラ感が残ります。(入浴感は個人の感想です)
7,「春日温泉」評判・口コミ
「春日温泉」の場所は意外と簡単に教えることはできるのですが、実際に行ってみたけど入る場所が分からなかったという人も多いです。
ある意味、別府の隠れ温泉とも言える「春日温泉」ですが、実際に入浴した皆様は、どのような感想をお持ちになったのでしょうか。
皆様の「春日温泉」の評判・口コミを少し集めてみました。
春日温泉(別府市)。浴室奥から入口を撮影(撮影許可・御礼)。温泉の歴史は100年超、建物は昭和30年代の築。素朴で風情あり。右側の女湯には目隠しカーテン。 pic.twitter.com/dUkJxdqcDw
— シロヤギ (@ennoyu) 2015年2月25日
北浜エリアの好きな温泉
春日温泉#別府 #温泉 https://t.co/jt406WNVfM pic.twitter.com/R31OoY8LWm— 今ちゃん (@Ima_chan400) 2017年1月15日
別府、春日温泉
別府駅の近くにある名湯です。湯は熱いにも関わらずやさしい湯です。扉を開けるとすぐそこに浴槽があり、人との距離が近いです。日によって、時間によって熱い、ぬるいの差があります。駅近くですが、少し分かりにくい所にあるのでウォークラリーをするなどして、探してみては。— YT@Hoa anh dao (@yokota08apu) 2011年12月14日
春日温泉(別府市・6:30→11:30と15時→23時営業・無休・炭酸水素塩泉)。外来客も一回100円で入浴可。浴室奥には仏様と世話人さんの名を記した石碑。 pic.twitter.com/VRWEiSgEsO
— シロヤギ (@ennoyu) 2015年2月24日
別府、春日温泉。入り口まで狭い道を入ってく感じ、いいっすな〜。いい湯加減で、木造の建物をぼーっと眺めながら浸かっておりました。良い時間だった。 pic.twitter.com/yPdBLYyJWm
— やん (@yan458) 2017年1月9日
いや、皆さん無事に見つけて入浴できたようで良かったです。
実は、私も初めて訪問した時には、てっきり建物の方かと思って建物の扉を開けて、「こっちじゃないよ」って言われたのは、いい思い出です。
普通に歩いていたら、まず素通りしてしまいますが、そんな場所にある温泉も味があっていいですよ。
興味を持たれた方は、是非訪問してみてくださいね。
8,「春日温泉」の基本情報
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出典:instagram/masatake_matsubaraさん
名称:春日温泉
郵便番号:〒874-0934
住所:大分県別府市駅前本町6-16
電話番号:0977-23-1486
営業時間:6:30~11:30 15:00~23:00
定休日:不定
駐車場:なし
入浴料:100円 ※2018年10月現在の料金です。
お風呂情報:内風呂(男女各1)
お役立ち情報:
●別府八湯ウォークに参加してもらえる「湯~ロ(ゆ~ろ)」チケットで入場することが出来ます。
●「湯~ロ」は、別府八湯温泉道名人会事務所でも販売しています。
●「湯~ロ」対象施設の中には、市外の人は200円の場所もありますので、購入しておけば100円で入浴できます。
9,「春日温泉」までのアクセス情報
バスの場合
●JR「別府駅」東口より鉄輪方面行き乗車。「別府タワー前」下車後、本願寺というお寺がある通りを山手側に登っていく(徒歩約5分)
車の場合
●「別府タワー」周辺の有料駐車場に駐車後、本願寺というお寺がある通りを山手側に登っていく(徒歩約5分)
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10,「日本の秘湯」ゆ~ナビ編集部コメント
いかがでしたか?
この記事を書かせていただいた温泉シニアマイスターの小井 明日香です。
今から数年前、別府八湯温泉道を始めたばかりで初心者だった私は、地図を片手に北浜付近の温泉巡りをしていました。その当時は、「ホテル」や「旅館」をある程度巡り、「共同浴場(公衆浴場)」も巡り始めようかなという時期でした。
「春日温泉」は当時の私の感覚からすれば、建物の中に受付があり、奥に湯船がある銭湯のイメージでした。
しかし、入った建物は事務所で「こっちじゃないよ」と言われてしまいました。教えてもらったのは、建物のすぐ横にある細い道。のぞいてみたら、確かに温泉らしい雰囲気があるなと思いました。
料金箱の存在に気づかず呼び止められて慌てて支払ったのも、今ではいい思い出です。
扉を開けてカーテンの奥にある薄暗い湯船は、ちょっぴり怖い空気がありましたが、どことなく懐かしい空気も漂わせていました。現在では、当時怖い雰囲気のあったボロボロの脱衣棚は綺麗になり、一部改修されていますので、懐かしい雰囲気はそのままに、訪問しやすい「共同浴場(公衆浴場)」になっています。
別府旅行に来て、ちょっぴりホテル系や旅館系と違う温泉を楽しみたくなったら、北浜温泉エリアからも近い「春日温泉」を訪問してみませんか?
そこには、ひっそりとした温泉が、あなたの来訪をまっているかもしれませんよ。
隠れ家的な共同浴場(公衆浴場)で、おばあちゃんちのような懐かしさを味わってみませんか?
11,【関連情報】「春日温泉」以外の別府にある共同浴場(公衆浴場)をご紹介
別府市内には郵便ポストよりも多く温泉があるそうで、「共同浴場(公衆浴場)」もかなり沢山あるんです。
ここでは、本記事の関連情報として、「春日温泉」以外の「共同浴場(公衆浴場)」をご紹介いたします。
また、以下では、別府エリアのほとんどの「共同浴場(公衆浴場)」や「日帰り温泉が可能なホテルや温泉旅館」が一気にわかるようにまとめ記事をご用意しておりますので、参考にご覧下さい。
記事作成日:2018年10月18日
記事作成者:「日本の秘湯」ゆーナビ編集部 温泉シニアマイスター 小井 明日香